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あなたの赤ちゃんは順調?月齢別で見る頭の大きさと成長のチェック法

「うちの子の頭、大きすぎる?小さすぎる?」そんな不安を感じたことはありませんか?この記事では、月齢ごとの頭囲データをもとに、赤ちゃんの成長が順調かどうかをチェックする方法をわかりやすく解説します。

<この記事の内容>

1. 赤ちゃんの頭のサイズはどう決まる?

生まれたばかりの赤ちゃんの頭の大きさに個人差があると、親としては「この大きさで大丈夫?」と心配になりますよね。ですが、頭の大きさには自然な範囲があり、その決まり方にはいくつかの要素が関係しています。

1-1 赤ちゃんの頭囲と成長スピードの関係

赤ちゃんの頭は、成長に合わせて急速に大きくなります。特に生後3か月までが最も早いスピードで拡大し、その後徐々にゆるやかになります。これは脳の発達に合わせて頭蓋骨が成長しているためです。

たとえば政府統計(2024年公表)によると、男の子の頭囲は出生時の中央値で約33.7cm、1か月後には36.8cmと、わずか1か月で約3cmも大きくなっています。これは体重や身長よりも成長が著しい変化です。

したがって、頭の大きさだけを見るのではなく、月齢ごとの変化を見守ることがとても大切です。

1-2 頭の大きさに影響する遺伝と体格

頭のサイズは、親からの遺伝や出生体重・身長とも関係しています。両親の頭囲が大きめであれば、その子どもも頭が大きい傾向にあります。また、体がしっかりしている赤ちゃんは、頭も比較的大きめなことが多いです。

しかし遺伝がすべてではありません。小柄な赤ちゃんでも、成長曲線の中に収まっていればまったく問題ありません。

1-3 新生児期から1歳までの発達曲線とは

赤ちゃんの発達には「成長曲線」という指標が使われます。これは同じ月齢の赤ちゃんが、どれくらいの頭囲をしているかを統計的にまとめたもので、3パーセンタイルから97パーセンタイルまでの幅があります。

中央値(50パーセンタイル)を中心に、上下に幅があるのが正常です。たとえば、生後2か月の男の子なら頭囲が39.7cm前後、女の子なら38.8cm前後が中央値ですが、それより少し小さくても大きくても、その子の成長ペースが一定なら心配はありません

頭の歪みが気になる方はこちら

2. 乳児の平均的な頭囲とは?

「うちの子の頭、平均より小さい?」「これって大きすぎ?」——そんな疑問を持つ保護者は多いものです。平均と比べることで、お子さんの発達が順調かどうかを客観的に確認する手助けになります。

2-1 月齢別の平均頭囲一覧(男の子・女の子別)

政府の2023年調査(2024年公開)によると、赤ちゃんの頭囲は以下のように成長していきます。

 中央値
(cm)
中央値
(cm)
出生時(0日)33.733.3
30日36.836.1
0年1~2月未満38.037.2
2~3月未満39.738.8
3~4月未満40.940.0
4~5月未満42.040.9
5~6月未満42.841.7
6~7月未満43.542.5
7~8月未満44.243.2
8~9月未満44.743.7
9~10月未満45.144.2
10~11月未満45.544.5
11~12月未満45.944.8
1年0~6月未満46.845.7
1年6~12月未満47.946.9
2年0~6月未満48.847.9
2年6~12月未満49.548.7

このように、男の子は女の子よりもわずかに大きい傾向があります。大事なのは「標準的な範囲に収まっているか」であり、「平均からずれている=異常」ではありません。

2-2 頭のサイズが平均より大きい・小さいときの考え方

頭囲が平均より大きい場合、「頭がよくなるのでは?」と期待する人もいれば、「病気では?」と不安になる人もいます。同様に、小さい場合も「脳の発達に影響するかも」と心配になるかもしれません。

ですが、一度の計測で一喜一憂する必要はありません。頭囲の発達は赤ちゃんごとに違います。継続的に成長しており、成長曲線の範囲内にある限り、ほとんどのケースで問題ありません。

2-3 小児科で使われる成長曲線の見方

小児科では、赤ちゃんの健診時に「成長曲線」を使って身長・体重・頭囲の推移をチェックします。グラフ上でお子さんの値がパーセンタイルラインの間にあれば、医師は順調と判断します。

たとえば、毎回10パーセンタイル付近に位置しているなら「小さめな子」として成長していると判断されます。一方で、前回50パーセンタイルだったのに今回3パーセンタイルになったなど、急激な変化がある場合は要注意です。

成長の推移を見るには、家庭でも母子手帳や記録アプリを活用してこまめに記録しておくことがおすすめです。

3. 赤ちゃんの頭が大きい?それとも小さい?心配なサインと受診の目安

赤ちゃんの頭囲が平均より大きかったり小さかったりすると、親としては「もしかして病気なのでは?」と不安になります。ただし、頭のサイズだけで判断するのではなく、他のサインとあわせて考えることが大切です。

3-1 危険な兆候かも?チェックしておきたい3つのポイント

次のような症状がある場合は、小児科や脳神経外科の医師に相談しましょう。

  • 頭囲の増加ペースが急激に早い、または急に止まった
  • 頭の骨と骨のすき間(大泉門)が膨らんでいる、脈打っている
  • 視線が合いにくい、ぐったりしている、嘔吐が続く

これらは「脳の圧が上がっている」「脳の発達が妨げられている」可能性があるため、早期に診断することが重要です

3-2 「大きすぎる頭」は病気のサイン?

頭囲が同月齢の上限(97パーセンタイル)を大きく超える場合、「水頭症」などの病気が疑われることがあります。水頭症は脳の中にある脳脊髄液がたまり、頭の中の圧が上がる病気です。

早期であれば治療が可能なケースも多く、CTやMRIなどの画像検査で診断されます。「急に帽子が入らなくなった」「頭の形が明らかに膨らんできた」など、異変を感じたらすぐに受診を

3-3 「小さい頭」は発達に影響する?

逆に、頭囲が著しく小さく、成長のペースも遅れている場合、「小頭症」が疑われます。これは先天的な脳の発達異常や感染症などが原因になることがあります。

ただし、必ずしも「小さい頭=病気」ではありません。両親の頭囲が小さめな場合や、体格全体が小さい子にはよくあることです。総合的な発達や行動の様子を見ながら判断することが大切です

4. 赤ちゃんの頭の形やサイズに関するQ&A

赤ちゃんの頭のサイズや形に関する不安や疑問は、多くの保護者が抱えているものです。ここでは特に質問の多い3つのテーマにしぼって、医師の視点からわかりやすく解説します。

4-1 向き癖で頭の形がゆがんだらどうする?

赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ていると、後頭部が平らになってしまうことがあります。これは「位置的頭蓋変形」と呼ばれ、多くは見た目の問題にとどまり、脳の発達に影響することはありません

しかし、歪みが強い場合や、左右差が目立つようになると、将来的なかみ合わせや視覚バランスに影響を与えることがあります。予防には、寝かせる向きを意識的に変えることや、うつぶせ遊び(首すわり以降)を取り入れることが効果的です。

4-2 ヘルメット治療はいつから始めるのがベスト?

頭の形の矯正には、専用のヘルメットを使った「頭蓋形状矯正療法(ヘルメット治療)」が行われることもあります。開始の目安は生後2〜6か月ごろ。この時期は頭蓋骨が柔らかく、形が変わりやすいため、治療効果も高くなります。

4-3 頭囲だけでなく全体のバランスを見るべき?

はい、もちろんです。頭の大きさを気にするあまり、頭囲だけに注目してしまう保護者も少なくありませんが、体全体とのバランスや発達の流れを見てあげることが何より大切です。

たとえば、体重・身長に対して頭囲が大きく見える場合でも、実際にはその子のペースで順調に育っているケースがほとんどです。定期的な健診で、身長・体重・頭囲の「成長曲線」のバランスが取れていれば、過度に心配する必要はありません。

5. まとめ|赤ちゃんの頭の大きさは個性。成長全体を見守ろう

赤ちゃんの頭囲には平均値がありますが、その子自身の発達リズムもまた大切な基準です。周囲と比べて大きい・小さいと感じたとしても、月齢に応じた変化と他の発達とのバランスを見ることが最も大切です

頭の大きさだけにとらわれすぎず、「寝返りをするようになった」「よく笑うようになった」といった日々の成長にも目を向けてください。逆に、急な頭囲の変化や、頭の形のゆがみ、嘔吐・視線異常などがある場合は、早めの医療機関への相談が安心につながります

不安や疑問がある方は、お一人で悩まずに、いつでもご相談ください。

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参考文献

  • 厚生労働省「令和5年度 乳幼児身体発育調査結果」(2024年12月公表)
  • The New England Journal of Medicine(NEJM)
  • 日本小児科学会「成長曲線の見方と活用法」
  • AHS Japan「乳児の頭囲と成長について」