ヘルメット治療、終わった後が心配…?後悔しないための知識とアフターケア

「治療しても、またゆがんじゃったらどうしよう…」
赤ちゃんの頭の形を整える「ヘルメット治療」。
実際に治療を始めた後、パパやママからよくいただくご相談のひとつが、
「せっかく治療しても、ヘルメットを外したらまた元に戻ってしまいませんか?」
というもの。
大切な赤ちゃんのために、後悔しないようしっかり調べたいですよね。
今回は、2025年の医学研究(Kato et al. 2025)をもとに、この“再発の心配”に医学的な答えをお届けします。
ヘルメット治療とは?
生後間もない赤ちゃんの頭の骨はとても柔らかく、寝る姿勢やおなかの中での圧迫などで「変形性斜頭(へんけいせいしゃとう)」と呼ばれるゆがみが起こることがあります。
このゆがみに対し、専用の医療用ヘルメットを装着して、頭がまあるく成長していくように導くのが「ヘルメット治療」です。
研究でわかった“治療後の頭のかたちの変化”
2025年に日本の大学病院から発表された研究では、中等度〜重度の頭のゆがみがある赤ちゃん32人を対象に、
「ヘルメット治療が終わってから1歳になるまで、頭の形がどう変わるか」を追跡しました。
その結果がこちら:
- 治療によって、平均10.5%あったゆがみは 4.2%までしっかり改善
- 治療終了後から1歳になるまでの間、ほとんどの赤ちゃんで変化なし
- 32人中 3人(約9%)でわずかに“戻り”が見られたが、いずれも軽度
- 全体としては「ゆがみが再び悪化する」傾向はほとんどなかった
なぜ再発しにくいの?
頭の形は生後1年で大きく変わりますが、6〜12か月ごろになると頭の成長スピードがゆるやかになり、骨も徐々に硬くなっていくため、大きな変化は起きにくくなります。
また、赤ちゃん自身が寝返りをうったり、ずりばいやおすわりを始める時期には、「同じ姿勢で寝続ける」ことが減るので、ゆがみの原因そのものが減っていくのです。

図:頭のゆがみを表す「頭蓋非対称指数(CVAI)」が治療により低下し、その後は正常範囲で留まっている(Kato et al. 2025)
再発を防ぐにはどうすればいいの?
万が一にもゆがみが戻って後悔しないように、以下のことを意識しましょう:
- ヘルメット治療が終わったあとも、寝かせる向きをときどき変える
- 同じ向きばかりで寝ないように、枕や寝かせ方に気をつける
- おすわり・ずりばい・はいはいなど、赤ちゃんの運動発達を応援する
これらは、赤ちゃんの頭だけでなく、体や脳の発達にもとても大切です。
まとめ:ヘルメット治療は「やって終わり」じゃなく、「安心を手に入れるための第一歩」
この研究結果は、「ヘルメット治療って意味あるの?」「外したあとが心配…」という悩みに、医学的にしっかりと答えてくれるものでした。
治療後の赤ちゃんの頭は、ほとんどの場合きれいな状態のまま安定していくことがわかっています。
でも、それ以上に大切なのは「親御さんが安心して、赤ちゃんと過ごせること」。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
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参考文献
Kato R. et al. Natural Progression of Cranial Shape Following Helmet Therapy for Deformational Plagiocephaly. J Clin Med. 2025;14(2):357.
https://doi.org/10.3390/jcm14020357








