タミータイムはいつから?うつぶせ遊びの効果5つとポイントを紹介
タミータイムが赤ちゃんの成長や発達によいと聞いて、ぜひやってみたいと思っている方は多いのではないでしょうか。ただ、実際にチャレンジしようとすると「タミータイムはいつからできるの?」「何分くらい続ければいいの?」と疑問がたくさん浮かんできます。積極的に推奨されている欧米と違い、日本はタミータイムに関する情報が少ない傾向にあります。詳しい情報が得られないと、安全性や必要性に不安を感じてしまいますよね。この記事では、タミータイムのやり方や実施のポイントなどを解説します。安全に行うための注意点も合わせて見ていきましょう。
タミータイムとは
タミータイムとは、赤ちゃんが起きているときに大人の見守りの中、うつぶせで過ごさせることをいいます。[1]
「うつぶせ練習」「うつぶせ遊び」「腹ばい運動」などといわれることもあります。
アメリカでは、2011年にアメリカ小児科学会がタミータイムを推奨し始めました。カナダ運動生理学協会も2017年にタミータイムを含む、子供の生活に関するガイドラインを発表。その他オーストラリアやイギリスなどでもタミータイムを推奨する動きがみられます。[2]
一方日本では、保健師がパンフレットを作成して独自に指導している地域があるものの、国としてのガイドラインは整備されていないのが現状です。
タミータイムの効果5選
タミータイムの効果は、以下の5つが挙げられます。
体や脳の発達などたくさんのメリットがあるため、ぜひ参考にしてください。
脳と心の発達をうながす
うつぶせと仰向けは体の使い方や見える世界が違うため、タミータイムでうつぶせになること自体が赤ちゃんの刺激になります。
また、タミータイムは「体を動かす感覚」や「バランス感覚」を養うこともできます。
日々の刺激の積み重ねが、脳と心の発達をうながすことにつながるのです。[2]
体幹トレーニングになる
タミータイムは、首のすわりや寝返り、おすわりなどに必要な筋肉を鍛える効果があります。
特に鍛えられるのは、「頭から首にかけての筋肉」「体幹の筋肉」です。
また、うつぶせになり視野が広がったことで、おもちゃや興味のあるものが目に入りやすくなります。すると、「さわりたい!」「近くで見てみたい!」という気持ちが育ち、動きたいという意欲がアップ。
結果的に、寝返りやハイハイなどがスムーズにできるようになると考えられます。[2]
後頭部が平らになるのを防ぐ
タミータイムは、ずっと同じ姿勢で過ごすことによる頭の変形を防ぐ効果も期待できます。[1]
「絶壁頭」と呼ばれる後頭部が平らな状態は、仰向けで寝ることによる圧力が原因といわれています。赤ちゃんが起きている間にうつぶせの時間を取ることで、後頭部へかかる圧力を減らすことが可能です。
また、タミータイムは頭の形がゆがみ、左右非対称になる「斜頭症」の予防にもなるといわれており、さまざまな頭の変形予防に大切な役割を果たします。[3]
斜頭症について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
成長や発達を確認する機会になる
タミータイムは、赤ちゃんの成長を確認するチャンスでもあります。[3]
仰向けや抱っこだけだと、「そろそろ首はすわったのかな?」と、赤ちゃんの成長がよくわからないご両親も珍しくありません。しかしタミータイムをしていれば、日々の赤ちゃんの成長をより実感できるでしょう。
たとえばタミータイムでは「一瞬だけ顔を上げようとする姿」や、「ご両親の声がする方をがんばって向こうとする姿」などを見ることができます。
タミータイムは、赤ちゃんの成長・発達を感じられる毎日の楽しみのひとつになりますよ。
親子のコミュニケーションの時間になる
ご両親が赤ちゃんの目を見て話しかけたり笑顔を見せたりすると、タミータイムは親子のコミュニケーションの時間にもなります。[1]
赤ちゃんはご両親の声と顔が大好き。ご両親も低い姿勢になると赤ちゃんと目線が合い、よりコミュニケーションを深められます。赤ちゃんをお腹の上でうつぶせにして、スキンシップを取るのもよいでしょう。[2]
赤ちゃんやご両親にとって楽しい時間となることが、タミータイムの継続にもつながります。
タミータイムはいつからできるのか
タミータイムは産院退院後、いつから始めても大丈夫です。たとえばタミータイムの盛んなアメリカでは、小児科学会が「タミータイムは病院から帰ってきたその日から始められる」と説明しているくらいです。[1][4]
最初は1日1回、1分でも10秒でもOK。少しずつ慣れていきましょう。ただし、医師や助産師からうつぶせを始める時期を指示された場合は、指示に従ってください。
また、タミータイムをいつまで行うかについて、明確な基準は定められていません。ただし、1歳ごろまでがひとつの目安といわれています。
その理由は、ハイハイができるようになるためです。ハイハイにはタミータイムと同じような効果があるため、無理にタミータイムを行う必要はなくなります。ハイハイができるようになった赤ちゃんには、おもちゃで遊ぶ際にうつぶせの姿勢も取るようにうながす程度でよいでしょう。[2]
タミータイムの基本的なポイント
タミータイムを実施するにあたり、基本となるポイントを紹介します。
徐々に慣れていきますので、あせらずゆっくり実施しましょう。
実施するタイミング
タミータイムにおすすめのタイミングを、以下に紹介します。
・赤ちゃんの機嫌がよいとき
・ご両親の余裕があるとき
・お風呂上りやおむつ交換後など習慣化しやすいタイミング
赤ちゃんの機嫌が悪いときは避けましょう。
また、吐き戻しのリスクがあるため、授乳直後も避けてください。[3]
まずは1日1回数分ずつ始め、慣れてきたら1日数分を2、3回できるようにします。赤ちゃんが嫌がったら、始めは10秒程度でも大丈夫です。[1]
うつぶせにする場所
タミータイムの実施に適した場所は「固いマットや布団の上」「ご両親のお腹の上」です。[1][3]
どちらで行う場合も赤ちゃんの様子をしっかりと見守り、眠りそうになったらタミータイムを終わりにして仰向けに寝かせてください。自分のお腹の上で行うときは、一緒に寝てしまわないよう注意しましょう。
仰向けからうつぶせへの返り方
赤ちゃんを仰向けからうつぶせの姿勢にかえる方法を紹介します。
①片手で赤ちゃんの手足を真ん中で支え、もう片方の手で背中と頭を支える
②寝返りの要領で左右どちらかにゆっくりと倒す
③手が体の下に入っていると姿勢を保てないため、うつぶせになったら手を前に出す
④ひじが肩より前にある方が顔を上げやすいため、両手を前に出し肘を床に付くような姿勢にする
最初は顔が上がらず嫌がる赤ちゃんもいますが、無理せず少しずつ時間を延ばしていきましょう。
うつぶせから仰向けへの返り方
タミータイム中に赤ちゃんが嫌がりだしたら、仰向けに戻しましょう。うつぶせから仰向けに姿勢をかえる方法を紹介します。
①片手で赤ちゃんの背中と頭を支え、もう片方の手でゆっくりと仰向けに戻す
②赤ちゃんが仰向けになったら抱き上げる
泣いているとすぐに抱き上げたくなりますが、寝返りがえりの練習をかねて、一度仰向けに戻してから抱き上げましょう。
うつぶせから仰向けの動きを練習しておくことにより、スムーズな寝返り獲得も期待できます。
月齢別 タミータイムの効果的なやり方
赤ちゃんは「新生児」「首すわり」「寝返り」「おすわり」「ハイハイ」といった過程を経て、どんどんと成長していきます。
タミータイムは1年ほど続けるとよいといわれており、成長に合わせてタミータイムの方法も変化していきます。[2]
ここでは、月齢別のタミータイムの効果的なやり方を紹介します。
あくまでも目安ですので、赤ちゃんとご両親に合った方法を見つけてみてください。
0~3ヶ月ごろのタミータイム
・両親のお腹の上から始めて、徐々に床でできるよう慣らす
・赤ちゃんの目の高さに顔を近づけ、笑顔で話しかける
・おもちゃに興味を持ち始めたら、赤ちゃんが目で追えるようにおもちゃを動かす
・顔が横に向く場合は、顔の向きが左右どちらか一方だけを向かないようサポートする(向き癖予防のため)[3]
指導する団体によってばらつきがありますが、タミータイムの目標時間は生後3ヶ月の赤ちゃんで1日合計30分ほどといわれています。
とはいえ、最初は嫌がったり、泣いたりする赤ちゃんは珍しくありません。
最初は少しずつ始め、まずは姿勢に慣れながらタミータイムの楽しさを教えてあげましょう。
3~6ヶ月ごろのタミータイム
・赤ちゃんのひじを90度に曲げて肩の下か前に置いて腹ばいにする
・お気に入りのおもちゃで遊ぶ楽しい時間にする
タミータイムに慣れてくると、体を腕でしっかり支えられるようになります。
鏡が好きな赤ちゃんには、タミータイム中に鏡を見せるのもおすすめです。赤ちゃんの興味に合わせ、タミータイム中のおもちゃを工夫するとよいでしょう。
6ヶ月以降のタミータイム
・自主的にタミータイムを実施するようになるため、安全な環境をととのえる
・さまざまなおもちゃをうつぶせの状態でつかめるようにする
・少し離れたところから「おいで」と声をかける
・寝返りの練習も兼ねて、おもちゃで遊びながらゴロゴロと横に転がる動きをうながす
赤ちゃんが6ヶ月頃になると、周りのものに興味を持って手を伸ばそうとします。ご両親が誘わなくても、自分からうつぶせになって遊ぶ姿が見られるかもしれません。[3][5]
この時期のタミータイムの目安は1日合計1時間ほどが目安とされています。
仰向けやうつぶせ、ゴロゴロ寝返りして体の向きを変えることは、赤ちゃんの筋力やバランス感覚の発達に役立ちます。赤ちゃんの好奇心を原動力に、色々な姿勢をとれるようサポートしましょう。
タミータイムを安全に進めるための注意点
タミータイムを行う際は、うつぶせで寝ると起こりやすい「SIDS(乳幼児突然死症候群)」に気を付ける必要があります。以下に3つの注意点を紹介します。
タミータイムを安全に進めるために必ず守りましょう。
赤ちゃんから目を離さない
タミータイム中は赤ちゃんから目を離さないようにしてください。
疲れた赤ちゃんがうつぶせのまま眠ってしまうと、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが上昇します。赤ちゃんが眠りそうになったら、必ず仰向けに戻しましょう。
また、ご両親がそばにいることで、赤ちゃんが苦しくなったりミルクを吐き戻したりしても、すぐに対応できます。
うつぶせの赤ちゃんが1人にならないよう、必ず大人が見守りましょう。[1]
固いマットや布団の上で行う
タミータイムは、固いマットや布団の上で行ってください。
やわらかい布団やクッションの上でうつぶせになると、顔が布団に沈んで呼吸が苦しくなってしまいます。
窒息を避けるために気を付けましょう。[1]
顔の近くにタオルやガーゼを置かない
顔の近くにタオルやガーゼを置かないことも、大切なポイントです。
何かの拍子にタオルやガーゼに顔がうまってしまい、口元をふさいでしまう危険があります。
赤ちゃんの成長はめざましく、昨日は全くできなかったことが突然上手にできることもあります。「ここなら大丈夫かな?」と思っても油断はせず、危険なものは片づけるようにしましょう。[1]
Q:もしタミータイムを嫌がったらどうするの?
最初は慣れない姿勢に戸惑い、泣いたり怒ったりする赤ちゃんは珍しくありません。
成長するにつれて徐々に慣れていく赤ちゃんが多いのですが、それでも嫌がることが多い場合は、以下のことを試してみてください。
・ご両親のお腹の上でのうつぶせから始めて、姿勢に慣れてもらう
・おむつ替えの後・お風呂の前など、タミータイムをするタイミングを決めてルーティン化する
・機嫌の悪いときは避け、お昼寝の後や空腹ではないときなど機嫌のよいタイミングに行う[3]
タミータイムがルーティン化されると、赤ちゃんも慣れてきて次第にタミータイムを期待するようになります。 1日のスケジュールの中に組み込んで毎日継続して行えば、忘れてしまう心配もありません。
赤ちゃんの機嫌のよいときに少しずつ進めていきましょう。
まとめ
タミータイムは赤ちゃんの成長・発達をサポートする大切な運動です。それと同時に親子の大切なコミュニケーションの時間でもあります。
「うつぶせ」と聞くと不安な方もいるかもしれませんが、安全に気を付けて見守りながら行うことでリスクを減らすことができます。
実施するタイミングや遊びを工夫し、タミータイムが親子にとって楽しい時間になるとよいですね。
参考文献
[1]鉾田市子育て支援サイト「【子育てコラム】~赤ちゃんのタミータイムって?~」https://www.city.hokota.lg.jp/page/page003611.html
[2]島根医学「乳児期前半のぽんぽんタイム(腹臥位遊び)を一層勧めたいーより良い発達のためにー」泉信夫(2022)第42巻,第3号,p20-24
https://www.shimane.med.or.jp/files/original/2023032810111718499732399.pdf
[3]Pathways.org「タミータイム」
https://pathways.org/topics-of-development/tummy-time/
[4]「Back to Sleep,Tummy to Play」アメリカ小児科学会
https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/sleep/Pages/back-to-sleep-tummy-to-play.aspx