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大泉門はどこにある?赤ちゃんの頭のへこみの役割と正しいケア方法

赤ちゃんの頭頂部には『大泉門(だいせんもん)』と呼ばれる柔らかい部分があり、触ると驚いたり不安に思う新米ママ・パパも多いでしょう。しかし、大泉門は赤ちゃんの成長に欠かせない重要な役割を担っているのです。この記事では、大泉門の位置や役割、正しいケア方法から気をつけるべき症状まで、専門医の視点から分かりやすくお伝えします。赤ちゃんの健やかな成長を見守るために、大泉門について正しく理解しておきましょう。

大泉門とは:赤ちゃんの頭の特別な構造

大泉門は、新生児の頭頂部にある頭蓋骨の隙間のことです。この部分は骨ではなく、薄い膜で覆われているため、触るとペコペコと柔らかく感じられます。

大泉門の位置と形状

大泉門の位置は、赤ちゃんの頭のてっぺん、少し前よりの部分にあります。ひし形をしており、生後すぐの赤ちゃんでは大きさが約2~3センチメートル程度です。実際に触ってみると、やわらかい感触とともに、赤ちゃんの心拍に合わせてわずかに動いているのが分かります。

この動きは正常な現象で、血流に合わせて動いているものなので心配はいりません。多くの保護者がこの動きに驚かされますが、健康な赤ちゃんの証拠でもあるのです。

小泉門との違い

赤ちゃんの頭には大泉門以外にも小泉門(しょうせんもん)という小さな柔らかい部分があります。小泉門は頭の後ろ側にあり、三角形の形をしています。大泉門よりも小さく、生後2〜3か月頃には閉じてしまうことが多いです。

大泉門と小泉門の違いを理解しておくことで、乳幼児健診でのチェック項目として頭部の状態を正しく把握できるようになります。

大泉門が持つ重要な役割

大泉門は単なる骨の隙間ではなく、赤ちゃんの成長と発達にとって欠かせない機能を持っています。

産道通過時の頭の形変化をサポート

出産時、赤ちゃんは狭い産道を通らなければなりません。この時、大泉門があることで頭蓋骨がわずかに重なり合い、産道を通過しやすいよう頭の形が一時的に変形できるのです。

この仕組みがあることで、自然分娩がスムーズに行われやすくなります。出産後に赤ちゃんの頭が少し変形して見えることがありますが、これも大泉門の働きによるもので、通常数日から数週間で自然に元の形に戻ります。

脳の成長に合わせた柔軟性

新生児の脳は非常に急速に成長します。生後1年間で脳の重量は約3倍にもなります。大泉門は、この急激な脳の成長に合わせて頭蓋骨全体が柔軟に広がることを可能にしています。

もし大泉門がなかったら、急速に成長する脳を硬い骨が制限してしまい、正常な発達に支障をきたす可能性があります。つまり、大泉門は赤ちゃんの脳の健やかな発達を支える重要な役割を担っているのです。

正常な状態と気をつけるべきサイン

大泉門の状態は、赤ちゃんの健康状態を知るための大切な指標になります。正常な状態を知っておくことで、異常に早く気づくことができるでしょう。

正常な大泉門の状態

正常な状態の大泉門は、頭皮とほぼ同じ高さか、わずかにへこんでいる程度です。触っても大丈夫な部分ですので、心拍に合わせたペコペコとした動きを感じることができます。

赤ちゃんが泣いたり力んだりすると、一時的に大泉門が少し盛り上がることがありますが、これは正常な反応です。泣き止むと元の状態に戻ります。

注意すべき異常な状態

大泉門の状態で特に注意が必要なのは、以下のような場合です。

赤ちゃんの頭のへこみが著しい場合は、脱水症状や栄養障害の可能性が考えられます。発熱、嘔吐、下痢などで体の水分が失われると、大泉門が普段よりも深くへこむことがあります。

逆に大泉門が常に膨らんでいる場合は、頭蓋内圧(ずがいないあつ)の上昇を示している可能性があります。頭蓋内圧とは、頭の中の圧力のことで、脳内出血、硬膜下血腫、髄膜炎などの脳の病気や水頭症などが疑われる重要なサインです。

大泉門の異常が示す病気のサイン

大泉門の異常が病気の症状として現れる場合があります。発熱と同時に大泉門が膨らんでいる場合は、髄膜炎(脳を覆っている膜の炎症)の可能性があります。また、頭囲の急激な増大とともに大泉門が膨らんでいる場合は、水頭症(脳の中に水がたまる病気)が疑われます。

これらの症状に気づいた場合は、すぐに小児科を受診することが大切です。

大泉門の閉じる時期と発達の目安

大泉門は永続的なものではなく、赤ちゃんの成長とともに徐々に小さくなり、最終的には完全に閉じます。

一般的な閉鎖時期

多くの赤ちゃんでは、生後1歳から1歳6か月頃にかけて大泉門が閉じ始めます。そして遅くとも2歳頃までには完全に閉じるとされています。ただし、個人差があり、健康な赤ちゃんでも閉じる時期に幅があります。

乳幼児健診では、この大泉門の閉鎖状況も重要なチェック項目として確認されます。医師が頭囲を測定し、大泉門の大きさや状態を診察することで、赤ちゃんの発達が順調に進んでいるかを評価しています。

閉鎖時期の異常とその原因

大泉門の閉鎖が早すぎる場合は、頭蓋骨縫合早期癒合症(とうがいこつほうごうそうきゆごうしょう)という病気の可能性があります。これは、頭蓋骨の縫合部分が早期に癒合してしまい、脳の成長が制限される状態です。

骨の成長に必要なビタミンDが不足することで、骨が曲がりやすくなる病気)やクレチン症(生まれつきホルモンが足りず成長が遅れる病気)などの病気が疑われることがあります。定期的な健診で医師に相談し、適切な診断を受けることが重要です。

日常的な大泉門のケア方法

大泉門は薄い膜で覆われた繊細な部分ですが、適切なケア方法を知っていれば、普段の生活で特別に神経質になる必要はありません。

シャンプーや洗髪時の注意点

赤ちゃんのシャンプー時には、大泉門の部分も含めて優しく洗うことができます。頭部ケアにおいて重要なのは、強くこすりすぎないことです。指の腹を使って、泡でやさしく洗いましょう。

多くの保護者が大泉門を避けて洗髪しがちですが、この部分も清潔に保つ必要があります。適度な圧力で洗うことで、頭皮の血行も良くなり、健やかな髪の成長にもつながります

日常生活での注意点

大泉門があるからといって、赤ちゃんの頭を極端に保護する必要はありません。抱っこをする時や、寝かせる時も、普通に頭を支えれば大丈夫です。ただし、硬いものにぶつけたり、強い衝撃を与えたりしないよう注意しましょう。

帽子をかぶせることも問題ありません。むしろ、外出時には紫外線から大泉門を守るためにも、適切な帽子の着用をおすすめします。

定期的な観察とチェックポイント

日常的に大泉門の状態を観察する習慣をつけておくと良いです。毎日のお風呂の時間などに、大泉門の大きさや膨らみ具合を軽く確認してください。

赤ちゃんが機嫌良く、食欲もあり、普段通りの生活をしているなら、大泉門の状態も正常である可能性が高いです。何か気になる変化があった場合は、小児科で相談することをおすすめします。

受診が必要な場合の判断基準

大泉門の状態で心配になった時、いつ病院を受診すべきかの判断基準を知っておくことは重要です。

緊急受診が必要な症状

以下の症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。大泉門が著しく膨らんでいて、同時に発熱、嘔吐、けいれん、意識レベルの低下などの症状がある場合です。

また、大泉門が極端に深くへこんでいて、赤ちゃんがぐったりしている、おしっこの量が極端に少ない、唇や口の中が乾燥しているなどの脱水症状が見られる場合も緊急受診が必要です。

早めの相談が望ましい状況

赤ちゃんの頭の柔らかい部分に関する理由で心配になった場合は、一人で悩まず医師に相談することが大切です。生後6か月を過ぎても大泉門が非常に大きい場合や、逆に生後3か月以内に小さくなりすぎている場合なども、専門医の判断を仰ぐことをおすすめします。

骨構造の赤ちゃんの発達には個人差があるため、心配しすぎる必要はありませんが、定期的な健診でしっかりとチェックしてもらいましょう。

まとめ

大泉門は赤ちゃんの成長にとって欠かせない重要な部分であることがお分かりいただけたでしょう。産道通過のサポートから脳の成長への対応まで、様々な役割を担っています。正常な状態を理解し、適切なケア方法を実践することで、赤ちゃんの健やかな発達を見守ることができます。大泉門の状態に異常を感じた場合は、早めに小児科医に相談し、専門的な診断を受けることをおすすめします。